【紅茶のこと】紅茶になる工程

一芯二葉、または一芯三葉で摘み取った鮮やかな緑色の生葉は、どのように茶褐色や黒褐色の紅茶になっていくのでしょうか。

紅茶になるまでの工程は、大きくわけて二通りあります。

紅茶について

オーソドックス製法

オーソドックス製法とは

二通りのうちの一つが、オーソドックス製法という昔ながらの方法です。

茶葉を摘む、酸化発酵させる、乾燥させるという正統派の方法で、機械化はされていますが、工程ごとに人の手がかかるので、茶葉本来の個性が生かせられます。

外見も、元の葉の形がわかるような1cm以上の長い形状、そしてそれをカットし、2~3mmの細かくしたものがありますが、どれも熱湯で抽出すれば、葉の形が残った茶殻だというのがわかりますよね。

オーソドックス製法の工程

1.萎らせる
摘み取った生葉は、水分を飛ばして萎らせます。
水分が40~50%になるくらいに乾燥させ、揉みやすい状態にします。
自然乾燥もありますが、ほとんどは大きな箱型(縦4m、横30mくらい)の中に生葉を30cmほどの高さに積み重ねて入れ、網状になった下側から冷風や温風を送り、ゆっくり萎らせていきます。季節や天候にもよりますが、12~15時間かけます。

2.揉む
萎らせた茶葉は揉捻機に入れて、上から圧力をかけながら揉みます。揉捻機の底は凹凸に造られていたり、エッジがあったり、茶葉が揉まれ、ねじられ、繊維質が壊れて葉汁が出ます。この葉汁により、酸化発酵が始まります。

3.ローターバン(ねじ切る)
オーソドックス製法の中には、長さが1cm以上で仕分けるオレンジ・ペコータイプと、2~3mmの形状にするブロークン・オレンジ・ペコータイプがあります。この細かい形状にする場合、使用する機械がローターバンです。
肉のミンチを作るように、ローラーの中に回転するスクリューのようなカッターが入っており、この中を茶葉が通過することで細かくねじ切られます。これがブロークン・オレンジ・ペコーの茶葉になります。

4.ふるい分け
揉捻機や、ローターバンにかけられた茶葉は直径3~4cmの塊になります。それを機械で左右に振らして解きほぐし、発酵させやすい状態にします。

5.発酵
ふるい分けた後、茶葉は温度25~28度、湿度80%の条件下に置かれ、通常は30~160分かけ、酸化発酵させます。
発酵棚という棚やタイル敷きの台の上に7~8cmの高さに茶葉を積んで、発酵させます。
タイル敷きの場合、下に電熱線が敷かれ、温度が達しない場合、熱を加えることもあります。

6.乾燥
酸化発酵した茶葉は、水分を含んでいます。これを乾燥機に入れ、水分を蒸発させると発酵は止まり、紅茶になります。
乾燥温度は95~98度で、およそ20分乾燥させて、水分量が2~3%になります。

7.区分け
乾燥が終わった茶葉は、茎や軸を取り除くクリーニングが行われます。
そして、茶葉の形状を一定のものに揃えるふるい分け機にかけます。上段から下段へ、4、5種類のメッシュがあり、これらを通過させて同じサイズの茶葉の等級区分を行います。オレンジ・ペコーや、ブロークン・オレンジ・ペコーなどのサイズの異なる紅茶に仕分けられます。

8.パッキング
仕分けられた茶葉は、それぞれの袋に詰めて保管され、ティーオークションにかけられます。
一袋あたり、だいたい40~48kgです。

CTC製法

CTC製法とは

CTCというのは、以下の意味の頭文字のことです。

C=CRUSH(潰す)

T=TEAR(引き裂く)

C=CURL(丸める)

1930年ごろ、W・マック・カーチャという人物によって考察された製茶機です。

上下2本の円筒形シリンダローラーの間に茶葉を入れ、シリンダーに刻まれた溝状の刃により引き裂かれて、上下のローラーの回転差で潰され、丸められて粒状の茶葉ができるようになっています。

茎も軸も一緒に成形するので、大量生産が可能です。

CTC製法の工程

1.萎らせる
CTC製法でも、茶葉を乾燥させ、水分を30~40%取ります。繊維質が柔軟になり、加工しやすくなります。

2.ローターバン
萎凋を終えたら、ローターバンに茶葉を入れておおまかにねじ切ります。

3.CTC機にかける
上下2本の円筒形シリンダローラーの間に茶葉を入れ、シリンダーに刻まれた溝状の刃により引き裂かれて、上下のローラーの回転差で潰され、細かい顆粒状に成形された紅茶ができます。

4.発酵
CTC機で粒状になった茶葉をふるい分け機にそのまま入れて、塊が解かれた状態で酸化発酵の過程に入ります。粒状ゆえに発光時間は短く、20~40分ほどで終わることが多いです。

5.乾燥
オーソドックス同様、乾燥機に入れて酸化発酵を止めます。
乾燥温度は95~98度で、およそ20分乾燥させるオーソドックスと変わりませんが、焦げないようにしなければいけません。

6.区分け
茎も軸も一緒に混じっているため、クリーニングは不要ですが、同じ形状で粒を揃えるためにふるいにかけて、崩れた粉状の茶葉と分けます。
仕上がった顆粒状のCTC茶は、直径が2~3mmのもの、1mmほどのもの があり、2~3mmの大きな形状のものは、ティーポットに入れて抽出されることもあります。

CTC茶は、キャンベルズ・パーフェクト・ティーが思い浮かびますね。