【ハーブのこと】メディカルハーブの歴史(近代薬学がやってきて、統合医療へ)
中世から近世のヨーロッパは、ハーブの時代となりましたが、近代にかけてはどうなっていったのか確認していきます。
近代薬学
1827年頃になると、ハーブ、セイヨウシロヤナギ、メドースイート(セイヨウナツユキソウ)から、サリシンという、抗炎症作用や鎮痛作用のある成分が分離されます。
それをきっかけに、変化が始まります。
1860年あたりには、コカの葉からコカインが分離されたり、サリシンからアスピリン(アセチルサリチル酸)が科学的に合成されます。(今では犯罪のイメージが先行するものの、当時は麻酔薬として外科医療に貢献)
19世紀後半には、コレラ菌の発見、ツベルクリンを開発したコッホ、狂犬病のワクチンを開発したパスツールが登場しています。
特定の病気は特定の病原菌が原因とする『特定病因論』という考えが定着します。
また、20世紀には、その病原菌を殺すペニシリンなど、抗生物質が作られ、医薬品を使う近代医学が中心となります。
衰退していく伝統医学
医薬品は、病原菌を狙い撃つという意味で、「魔法の弾丸」と呼ばれ、それまでの伝統医学は次第に衰退していきます。
ヨーロッパの植物療法、インド(イギリス統治下)のアーユルヴェーダの学校、中国の伝統医学の学校も閉鎖となりました。
日本においても、1882年から1883年にかけ、医師免許法が施行されるも、漢方医は対象外となりました。
統合医療へ
近代医学は20世紀になって主流となりましたが、合成された医薬品や手術に頼る医療は、必ずしも万能ではないことが意識されることになります。
その理由は、薬害、副作用という医薬品自体の問題、環境汚染が社会問題となったこともあり、科学一辺倒に疑問が生じ始めました。
病気の性質の変化も理由の一つです。
生活習慣病、心身症といったことに悩む人が増えてきました。
近代医学が多くの伝染病を駆逐し、結果的に治療<予防、部分<全体の調和、といった近代医学より植物療法をはじめとする代替医療が得意な分野が見直されています。
近代医学×代替療法
近代医学、代替療法のそれぞれの長所を生かすため、統合医療がはじまりつつあります。
近代医学は、緊急治療や外傷への強みを発揮しますが、慢性的なものやストレスからの症状にはあまり効果が高いとは言えず、代替療法がその逆の傾向となります。
長所を生かし、短所を補うことで、患者にとって最適な医療となるのが統合医療の考え方になります。
具体的な将来像のイメージはまだないものの、メディカルハーブが活躍する可能性に期待はあるとされています。
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