【メディカルハーブ検定対策】Chap.5-1 メディカルハーブの歴史
メディカルハーブは古くから使われてきたといっても、どういった歴史があるのでしょうか。
メディカルハーブと世界の歴史の関係、現代においての可能性について学び、知っていきましょう。
民間療法としてのハーブ
紀元前2万年、人類が火を使い始めた頃には、人は病気になってしまうと身の回りの薬草で自らを癒して、手当をしてきました。
食べたり、塗ったりして元気が出た、痛みが軽くなったといった薬草の事が口伝されていき、民間療法として用いられたリ、儀式などで呪術的な使われ方もしてきました。
古代文明の発祥地とメディカルハーブ
古代エジプト
紀元前1700年頃、パピルスの文書(エーベルス・パピルス)に、アロエ、ジュニパー、ガーリックなどのおよそ700種類のハーブが記録された文書があります。
うがい薬、湿布として使われていた記録があります。
古代インド(紀元前1000年頃)
アーユルヴェーダは、インドの伝統医学として有名です。
人の体質を三つのタイプに分け、そのバランスをとることで健康を維持していくという考え方です。
リグ・ヴェーダという書物には、数百の薬草が載っています。
アラビア語圏
ユナニ医学が発達したものです。
中国
中医学が発達し、陰陽論と五行論を基本に、身体を作る3つの要素は、気血水であると考えられました。
三大伝統医学
アーユルヴェーダ、ユナニ医学、中医学は、世界の三大伝統医学と呼ばれ、どれも人が本来持っている自然治癒力に働きかけます。
古代インドの医学
有名なアーユルヴェーダは、インドのインダス川流域で生まれました。
前述で、人の体質を三つのタイプに分けるとありましたが、ヴァータ、ピッタ、カパの3つになります。
人の身体が健康状態であるとき、この3要素からなるドーシャのバランスが取れているものの、このバランスが崩れてしまうと不調を訴えて様々な病気を引き起こしてしまうと考えられています。
古代ギリシャの医学
この時代になると、薬草による治療が体系化されていき、医学の面も帯びてきます。
ヒポクラテス(紀元前400年頃)
ヒポクラテスは、医学の祖(父)と呼ばれた古代ギリシャの医師です。
経験、観察を重視し、科学的な医学を確立し、有名な体液病理説を唱え、400種類のハーブを処方としてまとめました。
体液病理説というのは、人間の身体に血液、黒胆汁、黄胆汁、粘液の4種類の体液が流れていて、そのバランスが崩れた際に病気になってしまうという説です。
古代中国の医学
陰陽五行説
この世に存在しているあらゆるものは、陰と陽からなっており、陰と陽は常に成長、変化を繰り返し、互いに関係しているとう陰陽説です。
それに、宇宙を構成する全ては、木、火、土、金、水という5つの性質に分類される五行説があります。
中医学は、陰陽五行のバランスにより、体質や病因を判断します。
神農本草経
神農本草経は、漢代における中国最古の薬物書です。
後の漢方の基礎になりました。
古代ローマ時代の医師
ディオスコリデス(60年頃)
ディオスコリデスは、ローマ皇帝ネロの従軍医です。
およそ600種類の薬効のある植物を分類して、薬物誌(マテリア・メディカ)を著しています。
16世紀までの間、医学の基本的な参考書とされていました。
没薬(ミルラ)の歯茎の強壮作用、催眠効果、ジュニパーの利尿作用といった薬草の効能が記されています。
ガレノス(180年頃)
ガレノスはローマの医師です。
500種類以上のハーブで水薬を作り、ヒポクラテスを師と崇め、ハーブの調整法はガレノス製剤として今に伝わっています。
また、植物油などの油性成分と水を混ぜて作られたコールドクリームを最初に作ったことでも有名です。
中世から近世におけるヨーロッパ
10世紀頃の植物療法について
ペルシアの医師で、科学者であり哲学者でもあるアビケンナ(イブン・シーナ)(10世紀)が有名です。
錬金術の過程の一部にバラを用いたところ、精油とバラ水が取れることを発見したことにより、植物から精油を抽出する蒸留法を確立しました。
これは現在のアロマテラピーの基礎になっています。
15~17世紀頃の植物療法について
この時代になると、コロンブスによる新大陸発見や、ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路の開発のいわゆる大航海時代にあたります。
ポルトガル、スペインの船が、ヨーロッパをはじめ、新大陸、東洋を往来して、多くのスパイスやハーブがヨーロッパに持ち込まれるようになりました。
植物療法はさらに発展します。
エキナセアは多くのハーブとともにこの時代に新大陸からヨーロッパに持ち込まれました。
また、ターナー、カルペッパー、ジェラード、パーキンソンといったイギリスのハーバリストが植物療法の専門家として広く活躍もしていました。
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