【紅茶のこと】テイスティングについて

紅茶にせよ緑茶にせよコーヒーにせよ、成分や作用については分析することで明確な結論が出やすいと思いますが、味となるとハッキリ言って個人差や好みはどうしても生じてくるものなのでは?と思っています。

ただ、品質の鑑定というのは、どんな物事にもあるものなので、紅茶におけるテイスティングについて確認していきます。

ティー・テイスティング、ティー・テイスターについて

ティー・テイスティングとは何だろう

ティー・テイスティングは、紅茶の品質を審査、鑑定することをいいます。

個人的な好みとは違い、世界共通の価値観(グローバルスタンダード)を基準に、一定のルールで人の官能を駆使して、価値、特徴を判断し、買い付け、ブレンドと品質管理等を目的とした鑑定の作業になります。

専門家:ティー・テイスター

ティー・テイスターといいうと、職人的技術や感覚を持ちえた、純粋にかっこいい響きです。

紅茶の品質を鑑定評価する専門家が、ティー・テイスターです。

必要な資質

身体的資質が求められます。

味の強弱の表現は、訓練すれば身に着くそうですが、高級茶としての評価比重が最も大きい香りを的確に判断し、鑑定するには鋭敏な嗅覚が必要です。

また、思考の資質も重要で、絶えない探求心でテイスティングを継続するという単純なようで単純ではない継続する習慣を、苦痛ではない感覚(いわば消えることのない好奇心)として持ち合わせておくことが必須です。

習得に必要な技術や知識

1.想定取引価格が判断できる技術

多くの茶園のシーズンごと、品種やグレードといった品質特徴を、官能検査結果や価値を頭の中に積み上げ、フィルタリングし、現状相場情報に合わせた判断が必要とされます。

2.品質特徴のための各種要員の知識

品種、土壌、ロケーション、気候状況、摘採方法、製茶工程、栽培管理、マネージメントといった情報も必要です。

なお、摘採方法については、コストはかかってしまいますが、一芯二葉手摘みがベストな方法になります。

3.グレード別生産量

各茶園の商品開発やクライアントからの供給要請など、安定的な価格での確保可能量や時期を把握し、供給不可になるようなリスクを負わない様にしなければいけません。

欠かせないティー・テイスターとその分類

科学や技術の発展とともに、様々なことが判明していく中で、ティー・テイスターは19世紀ごろの登場からほとんど進化せず今に至っています。

人間の風味判断は2~3秒程度でわかるものの、科学的分析だと数百倍の時間を要するとされています。

復号的な結果は非常に困難いうわけです。

時間を要せず、人間が感じる品質特性は、やはり同じ人間(=ティー・テイスター)が最も的確な鑑定ができるのでしょう。

分類とその特徴

プランターズ
現地生産者再度のティー・テイスターです。

ブローカーズ&シッパーズ
現地にて流通及び転売輸出に関連したティー・テイスターです。ブローカーズはオークションの関係者でもあり、シッパーズはオークションのメンバーでもあります。

バイヤーズ&ブレンダーズ
輸入、消費国におけるティー・テイスターで、世界中の各生産地の紅茶を広範囲に理解しているのが特徴です。

実際のティー・テイスティング

専用の器具を用いて行われます。

審査盆、拝見盆という茶葉の見た目を確認する器、ポットとボウル、ラウンド・スプーン、スピットーン、キッチンタイマー、計量器、やかん、ガス台(または電磁調理器)を用います。

常にまったく同一の条件で、構成厳格に行われます。

間接光からポットやボウルのメーカー、抽出時間、品種やグレード(サイズ)まで、とにかく同じ環境やモノを揃えて行わなければいけません。

茶葉の色、艶、サイズ、サイズの均一性、よれている具合、チップ量、重さなどの評価基準がありますが、比重が重いものほど良いお茶とされています。

茶液の水色も、テアフラビンの黄とテアルビジンの赤という2通りがありますが、例外としてキームンやセイロン・ローグロウンといった水色は濃淡ではなく、明るく鮮やかなものが良いとされています。

香りの評価

甘く柔らか、広がりを感じるフルーティーな香りは中国品種系茶樹となり、軽く爽快に立ち昇る華やかでフラワリーな香りが中国品種系茶樹とアッサム品種系茶樹をかけあわせた交配種になり、甘芳しい香りのモルティーフレーバーはアッサム品種系茶樹になります。

ティー・テイスティング・ウィズ・ミルク

CTC紅茶はミルクを加えて審査する方法が多いようです。

ストレートでの判別が困難であっても、ミルクを加えることで明確な変化を捉えることもできるようで、審査もしやすくなります。

ミルクを加えることで明るく発色すると良好な判断とされ、発色せずに冴えない水色になってり、薄くなったり、青黒く暗くなるなどすれば、マイナス評価となっていまいます。

風味としては、ミルクを加えてもおいしく感じる紅茶は、しっかりとボディーを持つものとして高い評価が得られます。

※ボディー・・・ワインでも用いられるように、味の濃さや深み、渋みを主体とした強さの複合した味を示します

日本の紅茶審査統一用語

多くの表現に用いられる用語がありますが、代表的な用語は以下のようになります。

水色」の統一用語
Thick Colour 濃い(良好)
Bright 冴えのある明るさ(良好)
Dull 暗く濁った(不良)

」の統一用語
Brisk メリハリしっかり(良好)
Pungent 良質な渋み(良好)

香り」の統一用語
Burnt 焦げ臭(不良)