Elliott Smith『From a Basement on the Hill』(2004)レビュー:闇の深淵で光り輝く、美しき魂の遺言
アルバム
ジャケット

アーティスト
Elliott Smith エリオット・スミス
アルバムタイトル
From a Basement on the Hill
レビュー
米国のシンガーソングライターである8月6日生まれのエリオット・スミスの急逝(2004年)後に届けられた遺作は、心に深く突き刺さる痛切な記録です。
特に内省的なサウンドを愛する者にとって、このアルバムは彼の魂の叫びが響き続ける聖域のような存在かなと思います。
核心にあるのは、彼が持つ繊細さと力強さの同居です。
自身の内面にある闇を、誰よりも美しく誠実なメロディへと昇華させる魔法を持っていました。
オープニングの「Coast to Coast」は、重層的なギターと囁くような歌声が作り出すサイケデリックな音像に圧倒されるのかな、と感じます。
初期の弾き語りから進化し、実験的なサウンドへと踏み出した彼の野心が凝縮されているように思えてなりません。
「King’s Crossing」で見せる死の影と圧倒的な美しさの融合、そして「Twilight」や「Fond Farewell」での胸を締め付けるような切ないメロディ。
これらの楽曲は、彼が音の一つひとつに命を吹き込む真の芸術家であったことを物語っていますね。
特に「A Distorted Reality Is Now a Necessity to Be Free」での歪んだ現実を直視する姿勢は、非常に示唆に富んだ体験と言えるでしょう。
彼の歌声は、時に脆く、時に強靭に、聴く者の孤独に寄り添います。
緻密なギター・ワークと多重録音による「音の壁」は、彼自身の内面を守るシェルターのようでもあり、世界へと開かれた窓のようでもあります。
彼が遺したこの「地下室からの手紙」には、私たちが言葉にできない感情のすべてが刻まれているのかなと感じます。
彼の音楽は日常をモノクロームに変え、真実と向き合わせてくれる存在です。
国内盤CD
トラックリスト
1 King’s Crossing
2 Ostrich & Chirping
3 Strung Out Again
4 A Fond Farewell
5 Pretty (Ugly Before)
6 Don’t Go Down
7 Coast to Coast
8 Let’s Get Lost
9 The Last Hour
10 A Passing Feeling
11 Memory Lane
12 Shooting Star
13 A Distorted Reality Is Now a Necessity to Be Free
14 Little One
15 Twilight
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私の視聴環境
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