Matt Maltese『Hers』(2025)レビュー:傷ついた皮肉屋が辿り着いた、愛の静かな場所
アルバム
ジャケット

アーティスト
Matt Maltese マット・マルチーズ
アルバムタイトル
Hers
レビュー
彼の音楽は、いつもどこか皮肉屋で、でもロマンチックな雰囲気が漂っていて、ついつい引き込まれてしまいます。
今回のアルバムも、その独特な世界観がさらに深まっているように感じました。
6枚目のスタジオアルバム『Hers』は、これまでの作品と比べても、より内省的で、感情の機微を丁寧に描いている印象を受けます。
傷ついた皮肉屋が、それでも愛に落ちることを自分に許す、そんな物語が詰まっているみたいです。
サウンド面では、全体的に温かみがあり、少しヴィンテージなグルーヴを感じます。
チル系の音楽を探している方には、この「温かさ」が響くのではないでしょうか。
全てをストレートに語らないからこそ、聴き手が自分の過去の経験と重ね合わせて、深く感情移入してしまうのかもしれません。
このアルバムは、単に「落ち着いたロック」という言葉だけでは括れない、深い味わいがあります。
聴く人に笑いや涙、そして過去の人間関係を振り返るきっかけを与えてくれる、そんな魔法のような力を持っている気がします。
派手な展開はありませんが、じっくりと彼の歌声とメロディに身を委ねていると、心が静かに満たされていくのを感じます。
夜中に一人で聴くのが一番しっくりくるかもしれませんね。
傷つきながらも、それでも愛を求めてしまう人間の弱さと強さが、この『Hers』には詰まっているのではないでしょうか。
このアルバムを聴いていると、自分の中の繊細な部分を肯定されたような、そんな気持ちにもなれます。
最も野心的で、感動的で、そして時代を超越した作品の一つになったのではないかな、と勝手に私は思います。
ゆえに、もっともっと評価されるべきアーティストです。
トラックリスト
01. Arthouse Cinema
02. Buses Replace Trains
03. Happy Birthday
04. Anytime, Anyplace, Anyhow
05. Always Some MF
06. Cure for Emptiness
07. Holiday from Yourself
08. Pined for You My Whole Life
09. Eternal Darkness of the Spotless Mind
10. Tangled
11. Everybody’s Just As Crazy As Me
Spotify
私の視聴環境
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