Radiohead『Kid A』(2000)レビュー:ギター・ロックの死と、テクスチャーが紡ぐ新しい夜明け
アルバム
ジャケット

アーティスト
Radiohead レディオヘッド
アルバムタイトル
Kid A
レビュー
2000年当時、今までのロックの業界を震撼させたとされるレディオヘッドの4thアルバム『Kid A』。
前作『OK Computer』でギター・ロックの頂点に上り詰めたであろう彼らが、その成功を自ら打ち砕くように提示したこの作品は、当時のロック・ファンにとってあまりにも巨大な「謎」だったんじゃないでしょうか。
4月15日生まれのギタリスト、エド・オブライエンが、当初は「短くてメロディックなギター・ソング」を望んでいたというエピソードがあるらしいのですが、結果として彼が本作で果たした役割こそが、このアルバムを唯一無二の傑作たらしめているなと感じます。
アルバムの冒頭「Everything in Its Right Place」の、冷たくも美しい電子音が響いた瞬間、私たちはそれまでの「バンド」という概念を捨て去ることを強要されます。
ギターという楽器を「メロディを奏でる道具」から「音のテクスチャー(質感)を創り出す装置」へと再定義したこと。
ギタリストとしてのエゴを置き、楽曲全体の響きに奉仕するという、極めてストイックで知的な決断だったのではないかと想像します。
「Idioteque」や「Treefingers」といった楽曲で聴ける、ギターとは思えないようなアンビエントな響きやノイズの重なりは、彼がいかにして新しい音楽の風景を描き出そうとしていたかの証明だ、と思います。
個人的にこのアルバムを聴き返すたびに驚かされるのは、リリースから25年以上が経過した今なお、そのサウンドが全く古びていないどころか、むしろ現代の混沌とした空気感を予言していたかのように響く点です。
ジャズやエレクトロニカ、現代音楽を飲み込みながらも、その中心には常にトム・ヨークの切実な「歌」が存在しています。
実験的でありながら、どこか人肌の温もりや孤独を感じさせるそのバランス感覚こそが、レディオヘッドというバンドの凄みですね。
洋楽ロックやUKロックを愛するリスナーにとって、この『Kid A』という高い壁に挑むことは、音楽の可能性を信じるための、ある種の儀式のようなものなのかもしれません。
「ギター・ロックは死んだ」と囁かれていた時代に、彼らが鳴らしたのは、むしろ「再生」のように思えてきました。
緻密な音のレイヤーの中に身を浸していると、言葉にならない感情が静かに浄化されていくような感覚を覚えます。
夜、静かな部屋でこのアルバムを再生し、音の粒子一つひとつに耳を澄ませてみる時間は、きっとあなたの感性を研ぎ澄まし、新しい世界の捉え方を教えてくれるかもしれません。
国内盤CD
トラックリスト
1. Everything in It’s Right Place
2. Kid a
3. The National Anthem
4. How to Disappear Completely
5. Treefingers
6. Optimistic
7. In Limbo
8. Idioteque
9. Morning Bell
10. Motion Picture Soundtrack
Spotify
私の視聴環境
Creative Pebble ブラック
音声入力3.5mm ピンプラグ接続
電源USB端子接続 低音用
パッシブラジエーター搭載
出力4.4W アクティブ スピーカー
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