The Charlatans『Some Friendly』(1990)レビュー: マッドチェスターの熱狂の中で生まれた、ハモンドオルガンの誘惑
アルバム
ジャケット

アーティスト
The Charlatans ザ・シャーラタンズ
アルバムタイトル
Some Friendly
レビュー
英国のロックバンド、ザ・シャーラタンズのデビューアルバム『Some Friendly』は、マッドチェスター・ムーブメントがUKロックシーンを席巻していた熱狂の渦中で産み落とされました。
(※米国の同名バンドと区別させるため、米国で活動する際は「The Charlatans UK」と表記されるそうです)
ハモンドオルガンの独特な音色と、5月30日が誕生日のティム・バージェスの瑞々しいボーカルが織りなすサウンドは、当時のシーンにおいて異彩を放ち、彼らを一躍時代の寵児へと押し上げたようです。
このアルバムの最大の魅力は、何と言ってもそのグルーヴ感にあるでしょう。
リードシングルであり、彼らの代表曲でもある「The Only One I Know」は、ロブ・コリンズによるハモンドオルガンの印象的なリフが全編を彩り、サイケデリックな浮遊感とダンスミュージックの要素が融合した、まさにマッドチェスターを象徴するサウンドです。
ティム・バージェスのボーカルは、若さゆえの危うさと、どこか達観したようなカリスマ性が同居しており、聴く者を彼らの世界へと引き込んでいくようです。
彼の歌声は、単なるメロディをなぞるだけでなく、楽曲に深みと奥行きを与えているように感じられます。
また、「Then」や「You’re Not Very Well」といった楽曲では、ガレージロック的な荒々しさと、ソウルミュージックからの影響が垣間見え、彼らの音楽性の多様性を示しています。
ザ・シャーラタンズは、ストーン・ローゼズやハッピー・マンデーズといった同時代のバンドとは一線を画し、よりクラシックなロックンロールの要素を強く持っていと言われています。
特に、ハモンドオルガンを前面に押し出したサウンドは、60年代のサイケデリックロックやR&Bへの敬意を感じさせつつも、決して懐古趣味に終わることなく、現代的な解釈で鳴らされているのが印象的です。
このバランス感覚こそが、彼らがマッドチェスターのブームが去った後も「生き残るバンド」となり得た大きな要因ではないでしょうか。
彼らの音楽は、単に踊れるだけでなく、聴き込むほどに味わいが増す、そんな奥深さを持っているでしょう。
このアルバムは、90年代の初期という当時のUKロックシーンの熱気と、そこから生まれた新しい音楽の息吹が、鮮やかな感覚だったことがうかがえます。
それは、彼らの音楽が持つ普遍的な魅力と、時代を超えて響く力もあるからだと思います。
あの時代の熱狂と、ザ・シャーラタンズが持つクールなグルーヴが深く刻まれる記念すべきデビューアルバムです。
国内盤CD
レコード盤 Record LP(中古)
トラックリスト
- You’re Not Very Well
- White Shirt
- The Only One I Know
- Opportunity
- Then
- 109 Pt.2
- Polar Bear
- Believe You Me
- Flower
- Sonic
- Sproston Green
Spotify
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