Marvin Gaye『What’s Going On』(1971)レビュー:時代を超えて響き続ける、魂の祈りと対話
アルバム
ジャケット

アーティスト
Marvin Gaye マーヴィン・ゲイ
アルバムタイトル
What’s Going On
レビュー
1971年、それまでの「モータウンのスター」という枠組みを自ら打ち破り、マーヴィン・ゲイが世に送り出した『What’s Going On』。
4月2日生まれの彼が、ベトナム戦争から帰還した弟の体験や、混迷を極める社会情勢を目の当たりにして紡ぎ出したこの作品は、発表から50年以上が経った今でも、驚くほど鮮烈に、そして優しく私たちの心に語りかけてくるようです。
アルバムの幕開けを飾るタイトルトラック「What’s Going On」の、あのパーティーの喧騒からシームレスに繋がるイントロが何か不変でありながらも特殊な世界観に引き込まれてしまいます。
重層的に重ねられたマーヴィン・ゲイのシルキーな歌声は、まるで祈りのようでもあり、親しい友人と語り合っているようでもあります。
このアルバムの凄いところは、戦争、貧困、環境問題といった重いテーマを扱いながらも、決して攻撃的にならず、どこまでも美しく、流麗なメロディで包み込んでいる点じゃないでしょうか。
ソウルやモータウンをまだ聴いたことがない新しい世代の人たちにこそ、この「優しさの中に秘められた強さ」を感じられるのではないかと思います。
曲間が途切れることなく一つの物語のように進んでいくアルバムの構成であり、「Mercy Mercy Me (The Ecology)」で歌われる環境への憂いや、「Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)」で描かれる都市の閉塞感・・・それらがバラバラの楽曲としてではなく、地続きの「現実」として響いていて、当時のモータウンがリリースを渋ったというエピソードもありますが、結果として本作は、アーティストが自らの信念を貫き通すことで生まれた、音楽史に残るマスターピースになっています。
洋楽ロックをメインに聴いている人にとっても、このアルバムが持つグルーヴ感や、緻密に構築されたサウンド・プロダクションは、きっと新鮮な驚きを与えてくれるはずじゃないかなと思います。
残念ながら本人は1984年に既に亡くなっていますが、激動の時代の中で、彼が問いかけた「何が起きているんだ?」という言葉は、形を変えながら現代の私たちにも突き刺さる気がします。
単なる過去の名盤として片付けるには、あまりにも美しいこのアルバムに耳を傾けていると、音楽を通じて世界と、そして自分自身と対話しているような、そんな不思議な感覚に包まれるようです。
トラックリスト
1. What’s Going On
2. What’s Happening Brother
3. Flyin’ High (In The Friendly Sky)
4. Save the Children
5. God Is Love
6. Mercy Mercy Me (The Ecology)
7. Right On
8. Wholy Holy
9. Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)
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