The Xx『XX』(2009)レビュー:静寂が奏でる親密な夜のポートレート

楽曲, 音楽

アルバム

ジャケット

アーティスト

The Xx ザ・エックス・エックス

アルバムタイトル

XX

レビュー

過剰な装飾に溢れた音楽シーンに、突如として「静寂」を武器にしたアルバムが現れました。

ロンドン出身の若者たち、ザ・エックス・エックスが放ったデビュー作『XX』です。

6月14日に誕生日を迎えるオリヴァー・シム。

彼の低く落ち着いたベースラインと囁くようなボーカルが、このアルバムに独特の体温と親密さを与えているのは間違いありません。

このアルバムを初めて聴いた時の衝撃は、何よりもその「引き算の美学」にありました。

不必要な音を徹底的に削ぎ落とし、残されたわずかなギターのフレーズ、控えめなビート、そして男女二人のボーカルが織りなす空間。

そこには、スタジアムを揺らすような爆音も、派手なシンセサイザーもありません。

しかし、その余白こそが、聴く者の想像力を刺激し、不思議な親密さを生み出しています。

オリヴァー・シムとロミー・マドリー・クロフトの歌声は、互いの距離を測るように交互に響き渡ります。

その絶妙な距離感が、若者特有の孤独や、言葉にできない微かな感情を鮮烈に描き出しているようです。

アルバムの幕開けを飾る「Intro」は、アルバムの流れの中で聴くと、その後に続く静謐な世界への完璧な導入部であることがわかります。

「Crystalised」や「VCR」で見せる、シンプルながらも中毒性のあるメロディラインは、現代的な洗練を感じさせます。

オリヴァー・シムのボーカルは、どこか憂いを帯びながらも、確かな存在感を持って楽曲の重心を支えています。

彼の奏でるベースが、単なるリズム楽器を超えて、メロディの一部として機能している点も、このバンドの独自性を際立たせている要因の一つでしょう。

オリヴァー・シムという表現者が、自らの内面にある繊細な部分を、このミニマルなアンサンブルの中に投影したことや、その誠実さが、時代を超えて多くのリスナーの共感を呼び続けているのかなと感じます。

ザ・エックス・エックスの登場は、ポスト・パンクやドリーム・ポップの新たな可能性を提示した、私にとっては重要な転換点だったように思います。

改めてこの『XX』を聴き返してみると、彼らが当時20歳そこそこだったという事実に改めて驚かされます。

若さゆえの純粋さと、大人びた諦念が同居するこの奇跡的なバランスは、どれだけ時間が経とうとも、色褪せることはないと感じます。

今日もまた、美しい静寂が待っているはずです。

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トラックリスト

  1. Intro
  2. VCR
  3. Crystalised
  4. Islands
  5. Heart Skipped A Beat
  6. Fantasy
  7. Shelter
  8. Basic Space
  9. Infinity
  10. Night Time
  11. Stars

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