Temples『BLISS』(2026)レビュー:夜のダンスフロアで、サイケデリックな夢が動き出す
アルバム
ジャケット

アーティスト
Temples テンプルズ
アルバムタイトル
BLISS
レビュー
テンプルズの最新アルバム『BLISS』は、これまでのサイケデリック・ロックを土台にしながら、シンセサイザーとダンス・ミュージックの躍動を大胆に取り込んだアルバムのように思います。
デビューアルバム『Sun Structures』のようなヴィンテージ感のあるサイケデリック・ロックを期待すると意外に感じるかもしれません。
しかし、少し陰のある陶酔感、踊りながら現実から離れていくような音楽が好きなら、非常に魅力的な一枚だと思います。
英国ケタリング出身の4人組バンドのテンプルズは、2014年のデビュー・アルバム『Sun Structures』で注目を集め、その後もサイケデリック・ロックを軸に作品を発表してきました。
今回の作品でテンプルズは、Massive Attack、Portishead、Underworld、Faithlessなど、1990年代後半から2000年代初頭のヨーロッパ電子音楽から刺激を受けているようです。
バンド自身は、この作品の感覚を「melancholic euphoria」、つまり少し寂しさを含んだ恍惚として説明しており、その言葉通り、明るく開放的なだけのダンス・アルバムではなく、身体は動くのに、心のどこかには夜の影が残っているような感じがします。
冒頭「Jet Stream Heart」は、この作品の方向性を最も分かりやすく示す曲でしょう。
テンプルズらしいサイケデリックな色彩を残しながら、音はより直接的で、身体に働きかけてきます。
曲名の通り、音楽の流れに引き込まれ、気づけば自分の意思だけでは止まれない気流に乗っているようです。
続く「Revelations」では、聖歌やグレゴリオ聖歌を思わせる声の重なりが、ダンス・ミュージックの反復性と結びつき、祈りのようでもあり、夜のクラブで多くの人が同じリズムに包まれているようでもあります。
宗教的な荘厳さと、電子音楽の人工的な高揚感が同居しているところが面白いです。
本作は、Tame Impala、Pond、Unknown Mortal Orchestraのようなサイケデリック・ポップや、Massive Attack、Portishead、Underworldのような系統が好きな人にもすすめられると思います。
ただし、過去のテンプルズにあるギター中心のサウンドだけを期待する人には、最初は戸惑いがあるかもしれません。
反対に、ロック・バンドが新しい音を取り込み、少し危うい形で変化していく瞬間に魅力を感じる人には、面白いと思えるかもしれません。
洋楽を聴き始めたばかりの人にも、ジャンルをきれいに分ける必要はないのだと認識できる一枚だと思います。
国内盤CD
トラックリスト
- Jet Stream Heart
- Revelations
- Megalith
- Glimmer
- Blue Flame
- Vendetta
- Jaguar
- Horizon
- Waiting on the Echoes
- Fantasy Realm
Spotify
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