Todd Rundgren『Something/Anything?』(1972)レビュー:ポップの魔術師が築いた、色彩豊かな音の迷宮
アルバム
ジャケット

アーティスト
Todd Rundgren トッド・ラングレン
アルバムタイトル
Something/Anything?
レビュー
1972年、一人の若き天才が、ほぼ全ての楽器を自ら演奏し、多重録音という魔法を駆使して、大作を世に送り出しました。
6月22日が誕生日のトッド・ラングレンの3枚目のソロアルバムであり、初の2枚組となった『Something/Anything?』は、まさに「ポップの魔術師」としての彼の才能が極限まで爆発した、驚異的な一作でしょう。
彼の飽くなき探究心と、極上のメロディセンスが結実した今作は、洋楽ロックを愛する者にとって、永遠に色褪せることのない「ポップスの教科書」のようなものだと思います。
このアルバムの最大の魅力は、25曲という膨大なボリュームの中に、パワーポップ、ソウル、ハードロック、そして実験的なサウンド・コラージュまで、ありとあらゆる音楽的要素が詰め込まれている点にあります。
オープニングを飾る「I Saw the Light」の瑞々しいメロディを聴けば、彼がいかに卓越したソングライターであるかが一瞬で理解できるはずです。
しかし、今作の真の凄みは、そうしたキャッチーな楽曲の裏側に、スタジオという遊び場を縦横無尽に駆け巡るような面と、実験精神が潜んでいることかなと感じます。
「Hello It’s Me」や「It Wouldn’t Have Made Any Difference」といった、切なくも美しいバラードで見せる繊細な感情表現も、トッド・ラングレンの真骨頂です。
ほぼ一人で作り上げたとは思えないほど豊かなアンサンブルと、緻密に重ねられたハーモニーは、彼が音楽という言語を通じて、自分自身の内面にある広大な宇宙を表現しようとした結果ではないでしょうか。
今作で見せる、ジャンルの枠を超えた自由奔放なスタイルは、後の多くのアーティストに多大な影響を与えました。
ポップスの持つ親しみやすさと、ロックの持つ革新性を、これ以上ないほど高い次元で融合させていますね。
トッド・ラングレンが、フィラデルフィア・ソウルの影響を受けつつ、それを独自のフィルターを通して再構築したその「雑食性」こそが、彼の音楽を唯一無二のものにしている要因の一つでしょう。
半世紀以上が経過した今もなお、このアルバムが放つ煌めきは、現代の音楽シーンにおいても古びることはないですね。
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トラックリスト
1. I Saw The Light
2. It Wouldn’t Have Made Any Difference
3. Wolfman Jack
4. Cold Morning Light
5. It Takes Two To Tango [This Is For The Girls]
6. Sweeter Memories
7. Intro
8. Breathless [instrumental]
9. The Night The Carousel Burned Down
10. Saving Grace
11. Marlene
12. Song Of The Viking
13. I Went To The Mirror
14. Black Maria
15. One More Day [No Word]
16. Couldn’t I Just Tell You
17. Torch Song
18. Little Red Lights
19. Overture – My Roots: Money [That’s What I Want]//Messin’ With The Kid
20. Dust In The Wind
21. Piss Aaron
22. Hello It’s Me
23. Some Folks Is Even Whiter Than Me
24. You Left Me Sore
25. Slut
Spotify
私の視聴環境
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