Lily Allen『Alright, Still』(2006)レビュー:可愛らしい毒と、ロンドンの日常を射抜くパンキッシュな視点

楽曲, 音楽

アルバム

ジャケット

アーティスト

Lily Allen リリー・アレン

アルバムタイトル

Alright, Still

レビュー

2000年代半ば、MySpaceという新しい波に乗ってロンドンから現れたリリー・アレンが、2006年に放ったデビューアルバム『Alright, Still』は、当時のUKポップ・シーンを賑わせただけでなく、今聴いてもその「不敵な佇まい」が全く色褪せていないことに驚かされます。

5月2日生まれの彼女が、弱冠21歳で世界に提示したこの作品は、可愛らしいメロディの裏側に鋭いナイフを隠し持った、最高にパンキッシュなポップ・アルバムでもあるように思います。

Smile

アルバムの幕開けを飾る「Smile」を聴けば、心地よいレゲエ/スカのビートに体を揺らしたくなるかもしれません。

でも、そこで歌われているのは、自分を裏切った元カレが泣いているのを見て「ざまあみろ」と笑う、あまりにも正直でシニカルな感情です。この「陽気なサウンドと毒のあるリリック」のコントラストこそが、リリー・アレンというアーティストの真骨頂でもあるでしょう。

彼女は、着飾ったスターとしての言葉ではなく、ロンドンの街角で友達と話しているような、生々しく等身大な言葉で世界を射抜いてみせました。

サウンド面では、プロデューサー・チームのフューチャー・カッツやマーク・ロンソンらが手掛けた、スカ、レゲエ、ヒップホップを軽やかにミックスしたプロダクションが秀逸です。

「LDN」で見せる、古き良きロンドンの風景と現実のギャップを皮肉る視点や、「Knock ‘Em Out」でのバーでのナンパをあしらう口調。

それらは、当時のUKロック・シーンが持っていた「労働者階級のリアリティ」を、ポップ・ミュージックの文脈で再定義したようにも思えます。

洋楽ロック好きのリスナーにとっても、彼女の音楽に流れる「体制に媚びない精神性」は、非常にロック的に響きますね。

LDN

また、彼女の歌声が持つ「無防備な強さ」も魅力ですね。

決して圧倒的な歌唱力でねじ伏せるタイプではないけれど、その少し鼻にかかった、お喋りするように歌うスタイルが、リリックの説得力を何倍にも高めています。

失恋の痛みを繊細に描いた「Littlest Things」のような楽曲では、その脆さがかえって聴き手の心に深く入り込んでくるんじゃないかな、と感じます。

『Alright, Still』というタイトルが示す通り、「まあ、相変わらずだけどね」と肩をすくめて笑ってみせるような、そんなタフでチャーミングな魅力が詰まったアルバムです。

UKロックやポップスを愛する人はもちろん、何かに縛られずに自分らしくいたいと願うすべての人に、この「可愛らしい毒薬」のような2006年の傑作を、今こそ改めて味わってほしいなと思います。

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トラックリスト

1. Smile
2. Knock ‘Em Out
3. LDN
4. Everythings Just Wonderful
5. Not Big
6. Friday Night
7. Shame For You
8. Littlest Things
9. Take What You Take
10. Friend Of Mine
11. Alfie

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私の視聴環境

レコードプレーヤー TEAC TN-350

ヤマハ ネットワークレシーバー

スピーカー ONKYO オンキョー D-012EXT(D)

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