Sigur Rós『Takk…』(2005)レビュー:アイスランドの光が降り注ぐ、魂を浄化する「祝祭」の音像
アルバム
ジャケット

アーティスト
Sigur Rós シガー・ロス
アルバムタイトル
Takk…
レビュー
アイスランドのロックバンド、そして個人的にもお気に入りのバンドであるシガー・ロスが、2005年に発表した4thアルバム『Takk…』は、それまでの彼らが持っていた「静謐でどこか近寄りがたい」イメージを鮮やかに塗り替え、圧倒的な光と多幸感で世界を包み込んだ、ポストロック史に残る金字塔アルバムです。
4月23日生まれのフロントマン、ヨンシーのファルセット・ボイスが、これまで以上に力強く、そして優しく響き渡る本作は、アンビエントやポストロックという言葉に馴染みがない世代にこそ、真っ先に触れてほしい一枚だと感じます。
アルバムのタイトル『Takk…』は、アイスランド語で「ありがとう」を意味します。
その言葉が示す通り、本作には全編を通して、生命の輝きを祝福するような温かなエネルギーが満ち溢れ、特に「Hoppípolla」を聴いた瞬間の、あの視界がパッと開けるような感覚。ストリングスとピアノが織りなす壮大なアンサンブルの中で、ヨンシーがチェロの弓でギターを弾く「ボウイング奏法」によって生み出される、地平線の彼方から響いてくるような幻想的な音色。
それは、音楽という枠を超えて、アイスランドの広大な大地や、降り注ぐ陽光そのものを浴びているような、不思議な感覚にさせてくれます。
サウンド面では、前作までの実験的なアプローチを継承しつつも、よりメロディアスで、ポップ・ミュージックとしての普遍性を獲得しているのが本作の大きな特徴でもあります。
ヨンシーが作り出した造語「ホープランド語(Vonlenska)」による歌唱は、具体的な意味を持たないからこそ、聴く者の感情をダイレクトに揺さぶり、言葉の壁を軽々と超え、ただ「音」として魂に浸透していくその体験は、情報過多な現代を生きる私たちにとって、何よりの癒やしになるんじゃないかな、と思います。
このアルバムが持つ「静と動」のダイナミズムは、「Glosoli」の終盤で、静かな祈りのような旋律が、突如として轟音のノイズへと変貌し、光の洪水となって押し寄せてくる瞬間に感じました。
暗い冬を越えて春を迎える瞬間の喜びを表現しているかのようで、何度聴いても鳥肌が立つような感動を覚えます。
アンビエントやポストロックを「難解な音楽」だと思っていた私にとって、この圧倒的なエモーションに身を委ねてみたいと思ったほどです。
「ありがとう」というシンプルな言葉を冠したこのアルバムは、私たちが忘れかけていた、世界に対する純粋な驚きや感謝の気持ちを思い出させてくれようでもあります。
ヨンシーの唯一無二の歌声に導かれ、アイスランドの光り輝く音の風景の中を旅してみるイメージ・・・。
それは、日常の景色が少しだけ違って見えたり、心がふっと軽くなったりするような魔法の音楽体験が、この『Takk…』という作品には詰まっているでしょう。
トラックリスト
1. Takk…
2. Glósóli (2025 Remaster)
3. Hoppípolla (2025 Remaster)
4. Með Blóðnasir (2025 Remaster)
5. SÉ Lest (2025 Remaster)
6. Sæglópur
7. Mílanó
8. Gong
9. Andvari
10. Svo HLJÓTT
11. Heysátan
Spotify
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