James Blake『James Blake』(2011)レビュー:静寂の底にある電子の声

楽曲, 音楽

アルバム

ジャケット

アーティスト

James Blake ジェイムズ・ブレイク

アルバムタイトル

James Blake

レビュー

英国出身、9月26日生まれのジェイムズ・ブレイクの自身の名前を冠した1stアルバムは、ダブステップを基盤に活動していた彼が、自らの歌声を中心に据えた作品です。

エレクトロニクス、ソウル、ゴスペル、ピアノが冷たい空間で交差しているようです。

もともとクラブ・ミュージックのプロデューサーとして注目を集めた彼は、初期EPで低音や刻まれたリズム、加工サンプルを使い、踊る音楽を別の方向へねじ曲げました。

このデビュー作で前面に出るのは、意外なほど繊細な彼自身の声でしょうね。

「I Never Learnt To Share」では、淡々と歌われる声が、次第に不穏な電子音と重なっていきます。

音が大きくなるより、部屋の壁が近づいてくるような感じがありますね。

華やかな場所ではなく、夜の部屋で一人の感情を見つめる音楽です。

本作の入口として聴きやすいのは、Feistのカバー「Limit To Your Love」でしょう。

静かなピアノと歌から始まり、深く沈み込むように響いていきます。

その落差は、床が消えて暗闇へ落ちるようで、ポップソングの形を保ちながら、低音で別世界へ連れていきます。

Limit To Your Love

「The Wilhelm Scream」や「Lindisfarne I」「Lindisfarne II」では、声がそのまま歌として残る一方、細かく切り刻まれた音の一部にもなります。

人の声なのに、遠い記憶や壊れたラジオのように聴こえます。

その不安定さが、アルバム全体の美しさになっているのがいいですね。

The Wilhelm Scream

「Measurements」では、重なった歌声が静かに漂い、最後に残るのは余韻と孤独。

『James Blake』は、初めて聴くと地味で難しく感じるかもしれません。

ただ、音量を落として夜に向き合うと、沈黙の中の感情が浮かび上がります。

踊るための音楽を、心の内側へ向かう音楽へ変えた、静かな傑作だと思います。

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トラックリスト

1. Tep And The Logic
2. Unluck
3. The Wilhelm Scream
4. I Never Learnt To Share
5. Lindesfarne I
6. Lindesfarne II
7. Limit To Your Love
8. Give Me My Month
9. To Care (Like You)
10. Why Don’t You Call Me?
11. I Mind
12. Measurements
13. You Know Your Youth

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私の視聴環境

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